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draft paper

趣味や日々の暮らしで思った事をそのまま書いています。

note.5 BOLERO 2016-モザイクの夢-

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会場:天王洲銀河劇場(JR:天王洲アイル
公式HP:会場公式HP
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千秋楽。つまり見納めということ。このシリーズには再演はないのだから。

ある意味それが解っているというのは潔い。なんとなく、今の舞台界には動員が良ければ再演があるみたいなキナ臭い空気が初日開ける前からある。
 
話は一つのBarに3組の縁のない人々が集い進行していく。演出・脚本の小林さんが「愛と哀しみのボレロ」にパンフレットで触れていたのも納得の内容。
 
東ドイツマルクと言ってしまっているため、壁はベルリンの壁とだけ思い込んでしまうけれど、登場人物は全て壁にぶち当たってる。
亡命を目指す女性には文字通りの壁と秘密警察、過去の記憶という壁。補助をする男には自分自身のプライドと価値観の壁。
すれ違う夫婦はお互いの想いゆえに、相手への要求という壁。そしてロマの三兄弟には、彼らの出自からくる偏見という壁。
 
それぞれの壁をどうするのか。壊すのか、乗り越えるのか、開くのか。そんなストーリーでした。
 
個人的にはロマの三兄弟のストーリーが好き。お金がないのは勿論、ロマであるというだけで診療も受けられない偏見を持たれている彼らの望郷の思いを馳せずにはいられない。流浪の民の彼らはどんな故郷を持っているのだろう。僕らの月は、どんな空にかかるのだろう。次男の果てなく広がる平野に駆ける馬のような乾いた力強さが印象的だった。
 
ダンスとしては夫婦のコンテンポラリーダンスが良かったね。目が合わない。寄り添えない。でもお互いを求めてるすれ違い。からの楽しいダンスタイムを見ると泣いてしまうのです。
 
亡命補助人の男は、進むにつれ一人だけどんどん衣装を脱いでいくんだけど、別にサービスタイムじゃなくて(笑)身に纏った余計なものをそぎ落としてる。装飾具は自信のない人にとっての鎧。鎧を取れば、お金に最上の価値はなかったんだね。
 
1幕最後のプリンシパル3名のダンスは、3名の男性それぞれの葛藤であり、それぞれのシーンの象徴。そういえば3組とも語るには3人必要なの。よく出来てる(笑)
 
ラストのボレロ東山義久はもう跳べない。翼のない人が持った翼を初日から羽ばたかせて、もう残った羽は僅か。でも、周りのメンバーが小さなステップから、最後にはアラベスクで熱を伝え、中心のリーダーを飛ばすために振動を起こす。リーダーが跳べばミルククラウンの様に新しい波が起きる。熱は、独りでは創れない。
 
繰り返されるカーテンコールも、言葉はなく。ダンス公演に相応しい美しい幕切れでした。